History of Besson trumpet CGモデルTpの元となったF.Besson資料

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F. Besson MEHAはゴードンが録音を含めたすべてのプロ活動で使い続けた楽器であり、CGモデルトランペットを制作する際、自身のMEHAのリードパイプをコピーしてCGモデルに装着するなどすべてのCGモデルの元となっている楽器です。またほとんどの楽器メーカーがトランペットを製造する際にF. Besson MEHAをコピーして研究したとも言われています。
最近大変良い状態のMEHAのBbとCトランペットを手に入れた私の生徒、横地さんがMEHAについて興味深い資料を寄せてくれたので紹介します。

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写真は、最近縁あって手に入れることのできた、オリジナルでいずれもシリアル番号9万番台の F.Besson MEHA のB♭管とC管です。

これをきっかけに、そもそもベンジおよびセルマーのゴードンモデルの元となった、ゴードン自身が使用していたことでも有名な F.Besson MEHA について調べ勉強したいという思いで、こちらに新たにトピを立てさせていただこうと思いました。

私が初めてdrill#20先生の門をたたいたのは、今からおよそ30年ほど前の1981年でした。当時は、ラリー・スーザさんが加工してくれたVカップ・マウスピースや、ベンジのゴードンモデル・トランペットが、今ほど簡単に日本で手に入れられない時代だったので、先生はご親切にもご自身の F.Besson MEHA を私に貸し与えてくださいました。アメリカに注文したベンジ7Xが手に入るまでの半年以上の間、先生の F.Besson MEHA で、アイアン、クラーク、デイリー・ルーティーン、システマチック・アプローチを練習し始めたのです。ですので私にとって個人的にも、たいへん思い入れがある楽器でもあるのです。

さて、そんなこんなでネットなどで F.Besson MEHA についていろいろと調べて始めてみますと、フランス製の楽器のせいか、あるいは第二次大戦の影響もあってか、英文での資料がなかなか見つかりません。そんな折、トランペットヘラルドに以下のような書き込みがあるのを見つけました。

http://www.trumpetherald.com/forum/viewtopic.php?t=60714&view=next&sid=d5f8bd9885ffba1fa56b2f2e81106cdf

F.Besson MEHA についてのたいへん興味深い内容でしたので、つたない訳ですが、ここに私が日本語に訳したものを紹介させていただきます。


ラリー・ジアーニによる「早分かりF.Besson歴史講座」

 以下に述べることのほとんどはジグマンド・カンスタル、ハル・オリンジャー、デイブ・ロジャーズ、ロブ・スチュワートたちから学んだことです。彼らはF.Besson物語の非公式の歴史家として尊敬に値する人々です。

 みなさんが思い浮かべるF.Bessonとは、ジグマンド・カンスタルが80年代に復刻し、ブージーアンドホークス社から発売されたものかもしれません。それらは第二次世界大戦でのナチスのフランス占領のとき、F.Bessonの従業員によって救出されたオリジナルの心金(マンドリル)によって製作されたものです。大戦後、フランスのF.Besson社は工場の火災により経営から手をひき、F.Bessonの名はイギリスのメーカーにより買収されました。カンスタルのコピーはその心金を使い、460ボアのブルブテ・モデルと470ボアのメア・モデルを製造しました。それらはセカンド・バルブ・ケージングの下方にカンスタルおよび4桁の製造番号が刻印されていました。ちなみに、メアとはマダム・ベッソンの孫娘の名前でした。

 では、始めましょう・・・。多くのプレイヤーたちが言及しているベッソンとは、戦前のまたは戦後のF.Bessonのことです。(ここで言う戦争とはもちろん第二次世界大戦のことであり、ナチスのフランス占領によりF.Besson社も著しく生産が制限されたおよそ5年間のことです。製造番号ではおよそ88000番から92000番の期間です。)F.Bessonメア・モデルは92000番(1945年ごろ)から始まります。

 ここからはカンスタル製のコピーではなく、オリジナルのF.Bessonについて話を進めます。

 F.Bessonブルブテ・モデルは1920年代以降、アメリカでは数多くのトップ・プレイヤーたちによって選ばれたトランペットでした。クラッシック・プレイヤー、コマーシャル・プレイヤー共にF.Bessonを使用していたのでした。460ボアのブルブテ・モデルはその当時F.Besson社が提供する事実上唯一のモデルでした。第二次世界大戦が始まるとカール・フィッシャー・ミュージカル・インストゥルメンツは、ナチスのフランス占領を理由にフランス製品の輸入を制限するように議会に陳情しました。この身勝手な行為によってカール・フィッシャー製のトランペットは、外国製の楽器との競合からのがれたのでした。しかし、アメリカ国内でのF.Bessonトランペットの使用が膨大な数であったため、修理目的に限りトランペットの部品だけはボイコットを逃れ、しかも免税で輸入が許可されたのでした。その際F.Besson社に課せられた唯一の条件は、各部品それぞれにモデル名と「Besson」の刻印を入れることでした。ベルには「Fabrication(製造)」と刻印されました。これは修理専用であることを示していたものと推測されます。

 戦時中、ニューヨークに住む「ラプアナ」という名の男があるアイディアを思いつきました。それは、国内市場でのF.Bessonトランペットの不足を補うため、修理専用として輸入の許可された各部品を使って、トランペットをアメリカ国内で製造するというものでした。この時期に、ラプアナの助けによりアメリカで作られた470ボアのメア・モデルは、ヨーロッパにもたらされたのでした。(F.Besson社はこのような改作を知らされていなかったし、許可もしなかったでしょう。)この間、だれかが新しくベルが必要となった場合、入手できる部品はメア・ベルだけでしたので、ブルブテ・モデルの本体にメア・ベルを取り付けるということが行われたのでした。珍しい460ボアのF.Bessonメアは、実はこのようにして生じたのでした。

 製造番号によって正規の物と認証されるF.Bessonメア・モデルは、92000番から始まります。最も価値のあるメアは製造番号92000番から99000番までのものです。100000番以降のメアは、悪名高いロンドン・バルブ・ケージング(80年代にシルキーがヤマハ製のバルブを使って、多くのプレイヤーたちにトラブルをもたらした話となにか似ていますが・・・)と、ロンドン・ベッソン工場が使用していたフランス工場とは異なった真鍮材を用い、ロンドンで製造されました。

 それについて説明すると、F.Besson社は戦後、戦闘で荒廃した地域から回収した迫撃砲弾の薬きょうを使用しました。(戦後フランスでは真鍮材でけでなく、他の金属も極端に不足していました。)薬きょうが受けた爆発の際の高熱、それに加えベルやリードパイプの鍛造の際の焼きなましが、フランス製のF.Bessonトランペットにその独特なサウンドと吹奏感をもたらしたのです。

 ブルブテとはフランス語で「特許」という意味です。そして、戦時中アメリカに送られた部品で、セカンド・バルブ・ケージングに刻印された「decote」とは「免税」という意味です。これは「フランス製品に関する法律」から免除され、アメリカでの関税がかけられなかったことを意味しています。

 470ボアのトランペットは、ハーマン、バーネット、ケントンなどビッグバンドにおいて、より高くより大きなサウンドが求められるようになっていく中で、それまでの「豆鉄砲」サウンドよりもっと余地(可能性)を必要としていたコマーシャル・プレイヤーたち(クラッシック・プレイヤーたちもまた)に新風を吹き込んだのでした。かくして、コーン22B(とそれに類する他のトランペット)の時代は、幕を閉じたのでした。

 ここで、F.Bessonの歴史における皮肉な話をひとつ・・・

 大企業ベッソンが受けた戦時および戦後の厳しい状況、アメリカではコーン、フランク・ホルトンなどの既成の大楽器メーカーの品質低下の問題、これらは、F.Bessonのコピーから始めた小さなトランペット・メーカーたちにトランペット市場の一部を獲得するチャンスを与えました。これらのメーカーのオーナーたち、ヴィンセント・バック、エルディン・ベンジ、ドミニク・カリキオ、ラディ・マック、F・D・オールズらはみな、(小さなメーカーゆえ)自ら多くの仕事をこなしました。

 今日、Bach社はかつてF.Besson社の最盛期がそうであったように、金管楽器メーカーのリーダーとみなされています。そして、小さなトランペット・メーカーらが、ご存知のような現在のBach社のラインや品質への不満によって生じた、新たな市場を満たしその業績を伸ばしています。

以上


いかがでしたでしょうか? 真偽のほどはわかりませんが、私にとっては大変興味深い内容でありました。

また、新たな情報などありましたら、みなさんから教えていただければと思っています。どうかよろしくお願いします。
----------------------------------------------資料ここまで。
このあともmixiのマルシンコミュでは横地さんによる研究・考察、そして貴重な写真の公開が行われているので興味のあるmixi会員の方はこちらをご覧ください。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=68521267&comment_count=7&comm_id=3663804

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この記事へのコメント

M.Uchida
2013年10月24日 14:21
大変参考になりました。

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